2024年7月27日からフランスで開催され、世間を賑わしている『パリ五輪』。
驚きと感動を日本全体で共有する大イベントなこともあり、寝不足の方も多いのではないでしょうか?
競技種目は多々ありますが、「敗者復活戦」はオリンピックを楽しむ上で欠かせない醍醐味の1つですよね。
1度負けても不屈の精神で立ち上がってチャンスをものにする選手をリアルタイムで見られる感動はなんとも言えないもの。
そこで今回は「柔道の敗者復活戦」にフォーカスし、なぜ敗者復活があるのかを解説していきます。
この記事をご覧いただき、オリンピックをより楽しめる一助となれば幸いです。
【パリ五輪】なぜ柔道には敗者復活があるのか解説!
そもそも柔道の敗者復活ってどんなルール?
柔道の敗者復活戦は、準々決勝で負けた4人と準決勝で負けた2人計6人を集めて、さらに
準々決勝敗退者2人・準決勝敗退者1人の3人ずつに分けた2つのトーナメント戦をすることです。
準決勝で負けた2人はシード枠として参加するので、1回勝てば銅メダル。
準々決勝で負けた4人はシード枠無しで参加、2回勝てば銅メダル。
「敗者復活戦」のルールを知っておけば、よりオリンピック観戦を楽しめることができます。
トーナメントが2つあるから3位が2人いるんですね!
敗者復活戦が導入されている理由は明言されていない
残念ながら、『なぜ敗者復活戦が導入されているのか』について言及している有識者・選手・関係者のインタビューや資料は見当たりませんでした。
ここからは敗者復活戦のシステムが導入されることで得られるメリットから、『なぜ敗者復活戦』が導入されているのか考察していきます。
【パリ五輪】「なぜ敗者復活戦があるのか」導入するメリットから考察!
競技の特性や時間の問題で都合が良い
敗者復活戦を取り入れる場合、『試合数が増えてしまう』ことが問題になってきます。
しかし柔道は他のスポーツとは違い1試合の時間が4分と短く、勝敗も早く決まる傾向にあります。
なので競技全体の進行が早いため、試合数が多くなっても問題がありません。
時としてゴールデンスコア(いわゆる延長戦)に入り10分以上の激闘を繰り広げることもありますが、あくまでも例外です。
柔道の試合が引き分けで終わった場合に行われる延長戦。
試合時間 : 時間制限はなし。勝敗が決まるまで続行。
勝利条件
- 選手のどちらかが「技あり」または「一本」を取る
- 反則によるポイントでも勝敗が決まる。例)「指導」が与えられる → 与えられた側の負け
競技の盛り上がりと選手のモチベーション維持のため
敗者復活戦はドラマチックな展開を生む1つの要素です。
「1度負ければ終わり」という緊張感やスリルも面白さにつながりますが、「負けても再び勝ち上がるチャンスがある」というシステムもまた、観客を惹きつける面白さや選手のモチベーションを上げることにつながります。
また、どんなスポーツでも集客力や人気がなければ、やがて競技人口も減ってしまい観客もいなくなるでしょう。
この敗者復活戦というシステムは、柔道を長く繁栄させるためにも必要な大事な要素なのです。
参加する選手ができる限り正当に評価されるため
どれだけ優れた選手でも、早い段階で強豪選手と対戦して敗北することはあります。
しかし敗者復活戦によって再び上位を目指す機会を与えることができるので、実力はあるが初戦で強い相手に当たってしまった選手がより公平に評価される仕組みになるのです。
柔道の理念・価値観とマッチしたシステムだから
敗者復活戦のシステムは『敗者へ再挑戦の権利を与える』仕組みのことです。
これは柔道の創設者である「嘉納治五郎」の理念の1つ『尽己竢成(じんこしせい)』に非常にマッチしています。
自分の全精力を尽くして努力した上で、成功や成就を期待すべきであるという教え。
『おのれをつくしてなるをまつ』とも読む。
「尽己(じんこ)」は「己を尽くす」という意味で全力を尽くす、全力で取り組む姿勢。
「竢成(しせい)」は「成し遂げるまで待つ」という意味で、努力した結果がすぐに出なくても辛抱強くその成就を待つ姿勢。
力を尽くし切っていないのに、失敗を運のせいにしてはいけないという戒めも含まれている。
結果が出なかった人がチャンスを与えられる仕組みは、柔道本来の精神文化と非常に相性の良いシステムであり柔道に携わる人々も納得の制度と言えるでしょう。
・精力善用(せいりょくぜんよう)
自分の力を最も有効に使うこと。
「精力」は、人間が持つ身体的、精神的な力を。
「善用」とは、最も有効に・最も良い方法で使うこと。無駄なく効率的に、自分や他人のためになるように使うことを指す。
・自他共栄(じたきょうえい)
自分と他人が共に繁栄すること。柔道を通じて得られる価値観が社会全体に広がることを目指す。
「自他」とは、自分自身と他人のこと。
「共栄」は、共に繁栄する・共に成長し、幸福になることを意味する。
まとめ
敗者復活戦というシステムは「なぜ導入されているか」は明言されていないものの、柔道本来の理念と競技自体に相性の良い理にかなった仕組みでした。
柔道の敗者復活戦の仕組みを知ることで、これからのオリンピック観戦も楽しく、熱くなれることでしょう!
この夏は日の丸を背負って柔道着に身を包む猛者たちをみんなで応援しましょう!